結婚後の住居問題は誰にとっても重要なテーマです。中でも「妻の実家で同居」という選択肢、いわゆるマスオさん状態になることを考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、実際に6年以上マスオさん状態を経験している筆者が、そのメリットとデメリットをリアルな視点でお伝えします。将来的な後悔を避けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
マスオさん状態とは?
「マスオさん状態」とは、アニメ『サザエさん』に登場するマスオさんのように、妻の実家で同居する男性のことを指します。婿入りとは異なり、姓は変えずに妻の家族と一緒に生活するスタイルです。
筆者も現在、妻と2人の子どもと共に、妻の両親の住まいで同居生活を送っています。
我が家の住居環境
僕は現在、妻と2人の子供と一緒に、妻の両親の住居に住まわせてもらっています。
住居は5LDKの一戸建て持ち家で、僕たち家族には2階の2部屋(リビング・寝室)を割り当ててもらい、もともとの子ども部屋をリフォームして、使いやすくしています。
妻の両親の専用スペースは1階和室と2階寝室で、それ以外は共有スペースです。
まとめると以下のような間取りと割り振りになります。
- 1階:玄関、浴室、トイレ、LDK、和室
- 2階:トイレ、物置 兼 洗濯物干し部屋、寝室、リビング、寝室
が僕たち、 が妻の両親、それ以外が共用スペースです。
このように、部分的に共有するタイプの部分共有型二世帯住宅で、共有スペースが多く、一緒に過ごす時間も自然と増えます。
マスオさん状態のメリット
1. 固定費を抑えられる
家賃や光熱費などの固定費を抑えられるのは、最も大きなメリットです。

僕の場合、水道光熱費は折半ですが、住居費・インターネット通信費は義両親が負担してくれています。
30代になると住宅購入も検討する時期で、住宅ローンを組む方も多いと思いますが、住宅ローンを組まずに済む分、将来の資金計画にも余裕が生まれました。
2. 緊急時の安心感
妻の両親と同居することになった理由の一つです。
妻の両親が持病を持っていることもあり、もしものときにすぐ対応できるという安心感があります。
災害時や家族の体調不良など、日常の中でも「すぐに助け合える環境」は大きなメリットです。
3. 子育ての協力が得られる
共働き家庭にとって、祖父母のサポートは非常にありがたい存在です。
保育園の送迎や、夕食の準備、子どもの見守りまで、日々助けられています。

マスオさん状態のデメリット
1. 自宅なのに気が休まらない
共有スペースが多いため、常に誰かと顔を合わせる状況になります。
プライベートな時間や空間が限られ、本当の意味での「くつろぎ時間」が持ちづらいのが現実です。
実際、基本的に寝る時以外は、共有スペースで過ごすため、1日の大半を妻の両親と顔を合わせることになりました。共有スペースで過ごしている限り、本当の意味で家族だけの時間や自分だけの時間が持つことができないため、気が休まることはありません。
当初は子供と遊んだり、くつろいだりするための場所は2階の僕たち用のリビングでと決めていたのですが、部屋が狭く物を置く場所が少ないため、結局1階のリビングに子供のおもちゃを置くようになりました。すると自然と子供たちも1階で過ごすことが多くなり、共有スペースで過ごす時間が多くなってしまいました。
このデメリットについては妻の両親側も同じなので申し訳ないと思っています。
例えば、寝室も近いので、子供たちが夜泣きするとそれが聞こえてなかなか眠れないといったことがあったようです。
2. 共有スペースの使用に気を遣う
気が休まらないということに似ていますが、以下のような場面で、毎日の小さな気遣いが積み重なります。
- 食事スペースが狭いため、妻の両親が終わってから食事する
- トイレ、洗面所の使用時間が被らないように気をつける
- 入浴は妻の両親の後にする
- 階段はすれ違いができないため、事前に人の気配が無いか確認する
- 冷蔵庫に自分で買ったものをあまり入れられない
3. 家事の分担が曖昧になる
共有スペースにおける家事の境界が不明瞭になりがちです。
掃除や料理、洗濯など、「どこまで誰がやるか」を明確にしておかないと、不満がたまりやすくなります。
4. 家庭内感染のリスクが高まる
特に2020年の新型コロナウイルス流行以降、家庭内感染の不安は切実です。
子どもが保育園などから風邪をもらってくることも多く、高齢の義両親に感染させないよう気を遣う毎日が続きました。
妻の両親は高齢かつ基礎疾患持ちのため、新型コロナウイルスに感染してしまうと重篤化リスクが大きく、どうしても外出自粛せざるおえませんでした。
現在は新型コロナウイルスの流行は落ち着きましたが、保育園や幼稚園で別の感染症の流行は定期的にあるため、小さなお子さんがいる方は特に注意した方が良いと思います。
デメリット解消のヒント
これらの問題は、完全分離型の二世帯住宅にすることである程度解消できます。

コストは増えますが、プライベートと協力関係を両立できる最良の選択かもしれません。すでに同居している方でも、リフォームなどで改善を図ることができます。
まとめ|マスオさん状態を後悔しないために
「マスオさん状態」は、家計や子育ての支援という大きなメリットがある一方で、プライベートの確保や気遣いなどの課題も抱えています。実際に6年過ごしてみて思うのは、“事前の話し合い”と“住まいの工夫”が非常に大事だということ。
共有する部分と分ける部分、家事の分担、生活時間帯のすり合わせなど、あらかじめ取り決めをしておくことで、後々のトラブルを防げます。
▼メリット
- 固定費を抑えられる
- 緊急時の対応がしやすい
- 子育ての協力が得られる
▼デメリット
- 自宅なのに気が休まらない
- 共有スペースの使用に気を遣う
- 家事分担が曖昧になりやすい
- 家庭内感染のリスクが高まる
家族の形は一つではありません。完全分離型・部分共有型など、多様な二世帯住宅のスタイルがある今、自分たちに合った選択をすることが大切です。
この記事が、これから「マスオさん状態」を検討される方の参考になれば幸いです。
二世帯同居する場合、リフォームや二世帯住宅の準備が必要になってきます。事前にすり合わせをして後悔のない選択をしましょう。